撮影日:2024年9月28日
現在私は岐阜県高山市国府町におり、これから広大な高山市を東に進み峠を越えて長野県松本市へと降ります。
峠を越えるということは当然標高が上がり気温が下がりますから一体どれほど下がるのかが気になりますね。
ーどんどん民家が減り北アルプスに近づく国道158号ー
高山市を東に進む
国府町を発車して20分、国道158号と合流して旧丹生川村へと突入しました。
ここまで来ると郊外を通り越して農村部というのが適切でしょう。
田畑の面積が増えて家もまばらになり始めました、以前ほどブレーキを踏む頻度も減りスムーズな走りが約束されます。
60km/h前後を維持しながら走れる国道は快適で体の緊張もほぐれていきます。
そしてこの日は休日、対向車は多く10~13台の列が30秒おきにやってきます。
壮大な景色を求めるのは人間の性質なのかなとも考えられる光景でした。
人里離れて峠越え
国道158号に合流してから30分、民家は完全に見られなくなり道路は急勾配でアクセルを踏むことに忙しくなりました。
加えて急カーブも増えるためにスピードは出せず再び全身に緊張が走ります。
後続の車が近づけば待避所に寄って先に行かせ私は確実に登っていきます。
そうこうしているうちにいつのまにか風が冷たくなっていました。
運転に集中しているうちに標高は上がり気温もダウン、肌寒さを感じ窓を少し閉めて吹き付ける風を弱めます。
また、この辺りまで来るとスギ林も姿を消して人が入っていくには相当な勇気を必要とする鬱蒼とした森へと変貌しました。
いくら標高が高いとはいえまだ青葉であり落ち葉も少なく道路はアスファルト本来の灰色、スリップの心配は最小限で良さそうです。
ー霧がかかった幻想的な森を行く、安房峠の旧道ー
そのまま素通りしてしまった!ICを通り過ぎて旧道へ
この先は安房峠、ここをバッサリと通り抜けるトンネルは有料でこの時私はその料金を知りませんでした。
高速道路扱いなので結構な額を取られると思った私はそのまま峠を登ることにしました。
料金所は画面左の平湯ICに存在します。
平湯ICへはICの目の前に位置する交差点を右に曲がる必要があります。
それを知らずに直進した先にあると思っていた私はそのまま素通りして旧道に入り込むことに・・・
深い葉の緑に囲まれた旧道
中央の線が見当たらず対向車が来た際にいつでもすれ違いえるように神経を尖らせます。
曲がり角だらけでカーブミラーで確認し対向車が見えたら脇に停車、過ぎ去るのを待ちます。
交通量は少ないので離合頻度は低く立ち止まって撮影できることが救いです。
森に左右を挟まれており動物がいつ飛び出してくるかも分かりません、恐怖とワクワクが入り混じった感情でした。
峠を駆け上ったら植生が変わり始めた
峠に入ってからも標高は上がり続け気付けば生えている植物にも変化が現れました。
辺りはシラカンバやダケカンバの群生がメインとなり林内も明るい印象を受けます。
先程までの怯えは薄まり、この森なら足を踏み入れてみたいとすら感じました。
ここは既に標高1500mを超えているのですがそれでも木々は色付いてはいません。
峠の頂上付近でも人間が涼しい~肌寒いと感じる程度の気温(11~14℃)までしか下がっていないようです。
(落葉樹の多くは気温が8℃まで下がると色付き始めます)
黄色やオレンジ色に輝くカバノキ類を楽しむためには10月も中頃にならないと無理なのでしょう。
ここより早く色付く場所はもう北海道だけではないでしょうか。
私の頭の中では紅葉は11月に起こるというイメージで固まっています。(平野部)
山間部でそれより早い月での色付きが見られるかもと少々期待していましたが残念です。
紅葉前の優しい緑と針葉樹が混ざる高地ならではの風景
しかしここまで来たら麓では見られない景色を見てやろうと躍起になっていました。
そこで濃い緑の針葉樹と優しい黄緑色のコントラストが目に引く峠の上部に注目してみました。
広葉樹と針葉樹が混ざるこの光景は北海道を連想させます。
北海道では広葉樹の中に針葉樹が多く混じるため本州とは一味違う風景を作り出します。
ここはそんな風景と似ており、異国の地感が満載です。
そんな異国感あふれる場所なのでヒグマのような大型動物が生息しているんじゃないかと考え始めてしまいます。
生息しているのはツキノワグマの方ですが人が近寄ってはいけないのは確かです。
先程までいた高山市国府町から50km程進んだだけですが植生がこれほど変わるなんて・・・
考えている以上に日本は広いことを改めて知りました。
これだけ雄大な景色を見せてくれる日本列島、生物多様性ホットスポットに指定されていることも納得です。
下り坂はエンジンブレーキをかけながら慎重に進み高速道路の出口と合流。
気付けば長野県は松本市に入っていました。このまま反対側のふもとまで進んでいきましょう。