周りの草木が繁茂する、若狭国一宮

建築物
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国宝の三重塔を見物した次の目的地はそこから車で5~6分、ここ若狭国一宮とされている若狭姫・若狭彦神社です。この二つの神社は小浜市街地により近く、鉄道ではJR小浜線の東小浜駅からアクセス可能です。

私は直前に明通寺を見学していたので先に訪れたのは上社とされている、若狭彦神社です。向かう道中は農村と聞いて思い浮かべる典型的な里山の風景が続きます。

御祭神である彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)の御利益は農業や漁業を始めとする産業傾向の強いものですから、このような里山と海に近い風景が神の御利益を求めたのでしょう。

そんな里山風景を見ながら神社はどこだろうと探しているのですが、駐車場が見当たりません。恐る恐る神社と書かれた看板の通りに進んだのですが、駐車場を通り越していきなり鳥居が姿を現しました。

すぐ近くに十数件の住宅が存在するものの、そういった文明から距離を取った世界に感じられます。ですから駐車場も見当たらないのかもしれませんし、単に人口が少ないだけなのかもしれません。しかし結果的に文明とは離れた空気を吸うことができました。

この近くの砂利道に停めてくださいとシンプルに記されていたので、邪魔にならないよう端の方へ車を停めて鳥居へやってきました。多少の不安は残りますが、周りには何もなかったので大丈夫でしょう。

鳥居をくぐった直後から外と内では時間の流れが異なることを肌で感じました。あちこちに流される外の世界とは止まっているのかと錯覚してしまうほどのゆっくりな時間です。人が私以外見かけないために境界をまたいだという感覚もそれを後押ししています。

人間の寿命がかすんで見えてしまうほどの長い年月を生きてきてなおも成長中、そんな巨木の生命力を目の当たりにすれば誰だって神秘性を見出してしまうのではないでしょうか。

大きなスギの木を後にして何やら仏教寺院のような造りをしている随神門をくぐります。左側に見えるスペースとこの屋根の形がどうしてもお寺の門と私の脳は認識してしまうようです。

仏教が伝わった6世紀半ばから現在に至るまで1400年を超える歳月が経過しているので仏と神が混ざって信仰されているのかもしれません。こういった信仰を神仏習合と言うのですね。若狭彦神社もおよそ1300年の歴史を持ちます、その間に融合していたとしても不思議ではありません。

随神門をくぐり目の前にはこの神社の社殿が出現しました。こちらもひっそりとした佇まいで赤く塗られた他の大きな神社とは雰囲気が異なります。そして私の他には一組の家族のみ、この静けさが特別な場所に呼び出されて神様に評価されているようで守られているんだと安心できます。

嫌な思いをした時に慰めていただく、そんな優しさのようなものを感じたのです。ここまでされて何もせず帰るなんて良心が傷んでしまいます。しっかりと敬意と感謝を込めて参拝です。

参拝を終えてふと左を向いてみると養分をたっぷり含んでいそうな小さな池を発見しました。こういった水場は目立ちませんが何か生き物はいないのかなと探りたくなります。

看板にはイモリが生息していると記されており、どこだろうと池の底に目を凝らします。すると黒く細長い生き物が動いているのを確認できました。イモリです、しかも1匹や2匹ではなくそこら中に存在します。見る範囲を広げることにまた1匹また1匹確認できるのが面白いところです。

静かに生き物を育む、日本の神様の姿をまさに目にすることが出来た感じがします。そして次は若狭一宮下社、若狭姫神社へ向かいましょう。

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