福井県の神社を巡った翌日、私は富山県高岡市まで東に進んでいました。
目的地が近いのです、その目的地とは国宝指定されている瑞龍寺です。
国道8号をそれて高岡市街地へと突き進み看板が示す方向へと車を走らせました。
そして車を停めてドアを閉めると同時に左へと首を向けました。

ここが市街地の中に存在するとは思えないほどの立派にそびえたつ寺院の門が姿を見せました。
目の前の砂利の道をならしている真っ最中でありもはやこれすら芸術に思えてしまうほどです。
形を崩さぬよう慎重に足を進めます。
訪れたのは開園直後、人も少なく静けさに囲まれながら伽藍を周ることが出来たことは幸いです。

次に現れたのは山門です。
この左右対称の建造物とそれに続く石の庭、統一性のとれたその姿に人間が織りなす底力を思い知りました。

山門をくぐり抜けようとしたその時、目に留まったものが左右に配置されている金剛力士像です。
これまで訪れた寺院にもこの像は配置されていたのですが、それを通り越して目から離れないのがこの色です。
それまで濃い茶色の像しか見たことのなかった私の目と脳にこの金剛力士像の姿は忘れることのない衝撃的な像としてがっしりと記憶されました。
あまりにも物珍しいことなので写真を撮らずにはいられませんでした。
前日に訪れた福井県小浜市に位置する明通寺の僧侶に聞いた話が忘れられません。
今は樹木の幹と同じ色をしている寺院もかつては着色されていたといいます。
その話がこの瞬間、現実のものとなりました。
物語の伏線回収に喜んでいる時と同じ気持ちです。確かに歴史はつながっているのですね。

山門を通り過ぎた後に見える仏殿もやはり左右対称で統制が取れています。
この優れた計算能力と空間認知能力を私にも分けてくれと思いました。
それにしても半年前の地震で被害を受けたと報道されたのに見渡す限りでは損傷は確認できません。
それだけ目を疑うほどのスピードで復興したということですから感激してしまいます。
私がすべきことはそういった人間の力を見習うことです。

右側の回廊を通って奥部に構える法堂へと歩みを進めます。
シンプルな造りですが厳かな雰囲気を感じ、いかにも修行する環境が整っていますね。
ここにいると私まで頭の中の煩悩が消えていくような、そんな気がします。

そして世俗から離れたところで見学させていただくのが奥部に位置する法堂です。
ここまで総門・山門・仏殿・法堂と見物してきました。
この4つの建造物は一直線に建てられておりそして左右対称の美しさをどう表せばよいのでしょうか?
語彙力が不足していることを悔やむほどの美しさです。

法堂の中に入ってきましたが率直な感想はよく見かけるような内装だなでした。
善光寺で感じたような厳かで近寄りがたい造りではありません。
むしろ安心感すら湧いてくるような気もしました。
おそらくそれは曹洞宗という禅を基本とする宗派の寺院だからでしょう。
確かに高校の授業で体験した禅の場所と造りが似ています。
既視感があったのはこの時の体験があったからでしょう。
変に緊張することなく、しかし羽目を外すこともなく見学できたことを感謝します。
なおこの法堂の西側にはJR城端線が通っており、時々線路を走る列車の音が響き渡ります。
それを聞くと一瞬だけ俗界に戻った感覚を体験することができます。
このギャップというものも面白いところでした。

この寺院には市内の中学生や高校生の授業で訪れるのでしょうか。
総門をくぐった右側には大勢が乗ることの出来る台が設置されていました。
ここで私はうまく写真が撮れるのかなと気になり1枚、確かに見栄えの良い風景です。