秋の訪れを肌と目で感じた飛騨地方の国宝建造物 安国寺

国宝
oppo_0

訪問日:2024年9月28日

岐阜県の飛騨地方に入って2日目、この地方で最大の人口を抱える高山市へと突入しました。

飛騨地方の総人口は訪問日時点で約13万7000人ですが、うち8万2000人が高山市民です。

飛騨地方の60%の人口が高山市に住んでいることは驚きです。

なかでも平成の大合併前、旧高山市域の人口が現在およそ5万8000人です。

これだけで飛騨地方全体の40%を超えるのです。広大な面積を誇ることで知られる高山市ですが人口は集約しています。

今回は高山市の古い町並み・・・ではなくさらに北に進んだ旧国府町に存在する国宝・安国寺へと向かいます。

古い町並みよりもさらに古い、1347年創建の寺院です。

城下町以外にも歴史を感じられる場所が存在すると知った時には絶対に訪れるべき場所と頭の中にリスト入りしました。

ーこちらも結構広い、旧国府町ー

座りながら眺めたい風景

高山の城下町は飛騨地方の盆地に位置しており広大で高台に登ったりすれば辺りを一望できます。

そして旧高山市と国府町の間には数キロの長大トンネルが連なり再び平らな土地へと出るのです。

合併後の高山市は非常に広大です。

旧高山市と比べれば見劣りしますが広いと感じるには十分すぎます。

その広さに関心したのも束の間、私は国道41号を離れて東の方角へと進みます。

両サイドの里山には、挟まれた黄金色の稲穂やその他の実った作物が尽きません。

秋の訪れを感じられる光景を前に自然と首を傾けてしまいますが今は自動車を運転中、見るべきは前方です。

食欲と共に景色の素晴らしさでも誘惑してくる秋の光景には要注意ですね。

風景の観賞は外のベンチに座ってからにしましょう、その方がじっくり堪能できる気がします。

木から垂れる木の実に釘付けになった国府町

あちこちに実ったクリの実

目的地に着いてからも秋を感じさせる風景は続きます。

駐車場付近には果実を付けたクリの木がびっしり、手に取り持ち帰りたくなります。

しかし公共の場なので見て楽しむに留めておきます。

ー植物の力を感じる境内ー

静けさのあまり緊張が走る境内

城下町とは打って変わって物静かな雰囲気

古い町並み目当てに多数の観光客が入り乱れる旧高山市とは対照的にこちらは歩いているのは私一人だけ。

これなら人の目を気にせず自分のペースで楽しめます。

ここまで来ても私一人のみ

道はしっかりと整備されており私一人歩くだけではもったいないほどです。

前日に訪れた多治見市の永保寺と比べるとこじんまりとした印象で外の音が遮断されています。

気を抜いていると動物が飛び出してきそうです。

極度に輝いてはおらず周りに影響されて落ち着いた色合いに、こういった風景に魅力を感じるのは私だけでしょうか。

年期が入った・趣のあるといった言葉がパッと思い浮かびます。

自分の語彙力の無さを悔しく感じました。

来て良かった!境内に実る草木たち

イチイと思われる木の実

境内にはイチイと思われる木が植えられておりやはりそこには果実があちこちに付いていました。

赤い部分だけがこの種の中で食べられる唯一の部位です。(他の部位は全て有毒)

手を伸ばして口に入れたいところですがここはお寺、その気持ちはスルーします。

幹が冷たそう・・・1か月前だったら抱きしめて涼みたいです。

イチイの木の全体図です。

イチイ以外にも境内には木が植えられておりそういった木に近づくとやはり外の音が聞こえません。

木の方からもっとよく聞いてと言われている気がしました。

先程感じた趣があるといった言葉の正体はこれだったのかもしれません。

こちらはイチョウの木が目立ちます。
キク科の花
落下したクリの実

境内やそこを抜けた先にも秋の風物詩の一つである木の実がゴロゴロと転がっていました。中でも多いのがクリです。

イガが青いものからパックリ割れてよく見るクリの姿となったもの、そして熟れたのかそれとも動物が採ったのか分かりませんが落下したものまで。

これから先、この木の周辺は繁盛することでしょう。そうした光景を眺めてみたいものです。

ー正面は閉鎖、裏側は開いている。入って大丈夫なのか・・・?ー

不安が募るくらいに開放的な入り口

次はいよいよ国宝指定されている経蔵を見ていきたいと思います。

境内の奥が入口となっているのですが・・・看板を見る限り「閉鎖中」の文字が記されていました。

えっ?と一瞬困惑、なぜならこの境内に入る前に私は道路を登って経蔵付近に立ち寄っていたからです。

回想後にますます困惑、そして不安が頭をよぎります。

「まさかあそこ私有地じゃないよね・・・?」とりあえず不安がぬぐえない間はその場から離れます。

国宝の経蔵

結論から言ってしまうと私の心配は杞憂に終わりました。

近隣の住民と思われる方が近くを歩いており恐る恐る尋ねてみると・・・

「全く問題ない」との回答が返ってきたため安心して入口を踏み入れることが出来ました。

どうやら裏側は常時開いているようです。

見た目は以前訪れた福井県小浜市の明通寺に似ていると感じました。

貞和3年(1347年)創建、明通寺より100年以上後の建造物ですがどちらも長い年月を同じ地で過ごしいます。

そのため近づくと呼吸が規則的にそして足の一歩一歩が重く感じられるのです。

樹木が遠いことと日差しが控えめなためか明通時より開放的です。

そのため木々の真下のようなジメジメを感じませんし歩きやすく、より周りの風景を見渡しやすいのです。

裏口から簡単に入れたのも、この開放的な風景のためです。

ー珍しい構造物、刈り取った稲の集合体ー

はざかけ

経蔵を一周して満足した後は表入口付近の稲刈りを終えた田んぼを眺めたいと思い表へと戻ります。

一見すると巨大化した蓑虫にも思える駆り終えた稲の光景。

これを「はざかけ」と呼ぶことをこの時は気付きませんでした。

角度を変えて目にすると祭りの開催にも見えてしまいます、実りの季節ですから収穫の感謝祭を行うのでしょうか。

・・・と思ったらどうやら刈り取った稲を乾かすための作業だったようで何かの祭りかと考えた私は早とちりでした。

道中にもよく見かけなんだこれ?と疑問だったのになぜこの時に調べなかったのか、私にも分かりません。

はざかけは広範囲で目にしました。

今回、国宝安国寺へと訪れたわけですが建造物以上にその周りの風景が目に留まりました。

絵やポスターの中に描かれた秋の風景そのものを見られたことが最大の収穫だったと考えています。

この豊かさ、かつて「国府」つまり政治の中心地となったのも頷ける環境です。

他にもこんな秋を感じられる場所はないのか?そう思い頭の中のリストから候補を探ります。

そして見つけました、そこへ向かおうと早速駐車場を後にして長野県を目指すことを決めます。

目的地は長野県白馬村、高山市をさらに東へと進むルートです。

次はそんな長野県へ向かう道中をお伝えしたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました