撮影日:2024年7月13日
JR東日本では土日祝日向けに週末パスというフリー切符を販売しています。
関東甲信越・南東北のJR線の普通列車・快速列車に乗り放題となるものです。
また、特急や新幹線の場合でも特急券を別途購入すれば乗車可能です。
出発駅は新潟県阿賀野市の水原駅、1日の乗車人員は700人と少し、決して多いとはいえないローカルな駅です。
そして今年の4月に無人駅となりました。
周りの学生達はICカードやアプリを開いてかざして中へ、しかし切符しか持っていない私は下車駅で改札を通るしかありません。
車内は席の6割が埋まる程度の乗車率です。
大半が高校生でありこの先の新発田駅で下車するものと思われます。
これがローカル線の実情か・・・と複雑な気持ちを感じながらも(移動に自動車を使う立場から言えた分際ではありませんが)列車は出発しました。
周り一面田んぼ、田んぼ、田んぼ。
梅雨入りしてから久しく辺りの稲は瑞々しくこれからの本格的な夏に向けてグングン伸びていくことでしょう。
この季節は植物の生命力を感じられて自然と活動的になります。
先へ進むと奥に見える丘陵地帯が迫り再び遠ざかっていきます。
そして丘陵地帯を過ぎた頃から住宅が増え始めます。
線路は白新線と合流していよいよ新発田駅へと停車しました。
やはり予想通り多くの高校生が下車していき、一度車内はガラガラに。
降車の直後に乗車する学生が見受けられましたが高校生の数には到底及びません。
ここから先、羽越本線沿線で新発田市の人口を超える地域は山形県鶴岡市まで存在しません。
しばらくは余裕のある移動が保証されます。
新発田駅を抜けて日本一短い山脈とされる櫛形山脈を眺めているうち、乗り換えとなる坂町駅に到着です。
ここは村上市、その最南端に位置する旧荒川町に存在します。
この市を抜けると山形県へと突入するのですが羽越本線はこの先村上市内を50km近く走らねばなりません。
面積が新潟県一の自治体なので村上市の広さに手も足も出ません。
しかし幸いなことに今回乗り込む米坂線は村上市をすぐに抜けて隣の関川村へと進んでいきます。
その関川村も30分程で抜けてしまいます。
自治体が変わると先に進んだ感があって旅が色取られます。
バス・・・?なぜバスが、と感じた方もいるでしょう。
実は米坂線は2022年8月の大雨で被災しており代行バスでの輸送となっているのです。
利用者も非常に限られているのでこのまま廃止される可能性すらあります。
そうなる前にしっかりと景色を目に焼き付けておきましょう。
バスは大部分を線路に平行して走るので見逃すことはありません。
バスが発車してからおよそ10分、村上市と関川村の境目辺りに差し掛かった時から国道は線路の横を走るようになります。
バラストの上には土砂と思われる堆積物が散らばっており、そこから草が生えてさながら廃墟のようにも見えてしまいました。
被災したのは局所的なものだと思っていました。
しかしこうやって乗車してすぐに確認できるほどの深刻なものだったとは思ってもいませんでした。
こうして豪雨災害の威力に息を呑むのでした。
さらに内陸部へと進んでいくと土砂崩れらしき跡がところどころに見受けられるようになりました。
崩れた箇所には木は無く補修工事された上に草が生えて自然に還る最中です。
ひょっとしてこのまま線路も草木に覆いつくされるのでは?と感じるほどの生命力です。
山形県突入の看板を見てから5分、この区間で私が好きな景色です。
ここは赤芝峡といって荒川が削った両側の山が迫ります。
森と岩のコントラストが成す険しい景色は何度通っても飽きることはありません。
ここを通る際には磁石でも埋め込まれてるのかと思うほどに釘付けです。
バスの終着点は米坂線の現在運行可能区間、今泉駅です。
バスの中でも座席の4割が埋まる程度だったので当然列車に乗り込む乗客は多くありませんでした。
もう少し前の時間帯であれば高校通学者で賑わう姿が想像できますがその時間は過ぎ去っていました。
列車に乗り込んだ後、終点の米沢駅まで私は眠りに落ちてしまい風景を撮れていません。
田園風景の広がる農村地帯なのですが、その中を心地よい揺れで走るものですから眠気を誘います。
ついに米沢駅へと到着です。
駅のホームにまで牛肉の広告がびっしりと・・・ここに訪れた観光客の舌をガッシリつかんでしまうことでしょう。
私も誘われてしまいますがこの後の訪問地へ向かう際に乗車するバスの運賃を確保する必要があったため口にすることはできませんでした。
またの機会にじっくり米沢市名物の牛肉と鯉を堪能してみようとおもいます。
さて、秋保大滝までの道のりはまだまだ続きます。
このままだと移動最中のことだけでいっぱいになってしまうので次のページに移ろうかと思います。